一昔前に問題になった酸性雨。
大気汚染による空気中の有害物質が化学変化を起こして雨の酸性度が強くなって降り注ぎ様々な問題を引き起こすと言われていましたね。
その酸性雨に濡れると禿げるといった話を一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
しかし現在はそんな話は一切聞こえてきませんよね。
いったいこの酸性雨で禿げるという話はどうなってしまったのでしょうか?
今回は酸性雨と禿げについて調べてみたのでご紹介します。
酸性雨とは
そもそも酸性雨とは、環境問題の一つとして問題視されている現象で、大気汚染によりPH値が酸性に偏った雨のことを指します。
学校でも理科で習ったと思いますが、通常水は中性を保っていてPH値は7.0になっています。
PHとは水素イオン濃度のことをいい、通常は「ペーハー」と読みますが簡単にいえば酸性とアルカリ性を数値で表したものになります。
中性の水が酸性に傾くとPH値が7.0から0.0に向かって動き、逆にアルカリ性に傾くとPH値は7.0から14.0に向かいます。
化学の実験でよく使われるリトマス試験紙を酸性に浸すと赤色に変化し、アルカリ性に浸すと青く変化するのは見たことがあるでしょう。
ちなみに日頃よく目にするものではレモンのPH値は2.0の強い酸性度、ブラックコーヒーのPH値は5.0とやや酸性を示し、消石灰ののPH値は12.0、家庭用の漂白剤のPH値は13.5と強いアルカリ性となっています。
日本では酸性雨の基準としてPH値が5.6以下になると酸性雨と呼ばれるようになるとのこと。
海外ではPH値がの酸性雨により森林が枯れた
酸性雨の存在が明らかになったのは19世紀のイギリスで言及されたもので、湖や川の魚が死んだり、ブロンズ像がボロボロになったりする異変がヨーロッパの一部地域で見られたからです。
その後の研究で人間の経済活動により酸性雨が発生することが分かったそうです。
その酸性雨の影響により森林が枯れた事例が相次ぎ、そのあたりから酸性雨が禿げるという噂がたったものと考えられます。
それでは一時問題になった酸性雨のPH値は最大でどのくらいになっていたのでしょうか。
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日本の酸性雨のPH値は5.8
酸性雨が人為的な物ということがはっきりしてから日本でも調査が始まり、2012年の全国を対象とした酸性雨の調査によれば、平均するとPH値が5.8だったそうで、弱酸性ということになります。
日本での酸性雨の基準はPH値で5.6以下ですから、5.8となれば酸性雨とは呼ばれないということになります。
ただPH値が5.8でも酸性になっていることは間違いないわけですから頭皮にとってどのような影響があるのか気になります。
頭皮のPH値は元々弱酸性
人間の皮膚には常在菌がいて、皮脂をエサにして脂肪酸を分泌します。
そして皮脂自体にも脂肪酸が含まれていて、これらが髪や皮膚を弱酸性に保っています。
PH値にするとおよそ4~5くらいです。
つまり髪や頭皮は元々弱酸性を保っているわけで日本におけるPH5.8の雨に濡れたところで何の影響も無いことが分かりますよね。
結局、「酸性雨で禿げる」というのは単なる“都市伝説”に過ぎないということのようです。
雨に濡れたまま放置しておく方が禿げる原因になる
酸性雨に限らず、頭皮にとって雨に濡れたまま放置しておくことの方が良くないと言われています。
それは大きく分けて2つの要因が考えられています。
一つは髪を保護しているキューティクルが濡れた状態になると開いたままになり、髪の栄養分であるタンパク質などが漏れてしまうからです。
また、キューティクルが開いた状態の髪は摩擦が強くなるため、ちょっとの刺激で抜けたり痛めたりすることがあります。
そしてもう一つ、髪が濡れた状態にしていることで頭皮に雑菌が繁殖し易くなり抜け毛の原因になったりします。
ましてや、酸性雨が降るような空気の汚れた都会の雨となると汚れた空気から有害物質が溶け込んでいることも十分考えられます。
酸性雨に限らず髪が雨によって濡れた場合はできるだけ早く洗髪して乾かした方が良いですよ。
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